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季刊「遠近」拝受 - hazanyosi
2025/07/08 (Tue) 10:43:26
季刊「遠近」第90号を拝受しました。
粒ぞろいの作品が多いですね。レベルの高さを窺い知ることができます。九州在住者も同人に入っていらっしゃるようですね。同人数十四人なのに確実に季刊発行を続けていられます。
作品もさることながら「サンゾー書評がおもしろいです。多少口の悪い言い方で書評していますが、ホンネですよね。同人誌に褒められるような作品はなかなか集まらないですよね。「何もない」「面白くない」「リアリティーが感じられない」「ナンセンスだ」と酷評するのが定番のようです。この人にかかったらヒッキャカメッチャカです。毒舌もここまでくれば喜劇ですよね。「海峡派」さんの批評が取り上げられていますが、気の毒になるくらい。ここで紹介したいと思ったがやめました。徹底してますね。サンゾーという人は何者でしょうか?
「詩と眞實」拝受 - hazanyosi
2025/07/06 (Sun) 10:09:00
「詩と眞實」NO913を拝受しました。送り主の井本元義さんの小説「黒い川」は福岡市の御笠川周辺に住む大学生の経済的に苦しい時代の生活を虚無感を重厚な筆致で描いた純文学ですね。小生たち世代、昭和の中盤から終盤にかけての流行した作品の流れをくんでいて、言い方によっては古い作品ですが、個人的には好きな作品です。「いつか汽笛鳴らして」とか「誰かが触った」とか、あの頃を彷彿させます。時代は待ってくれないのでしょうか。今はもう同誌の「立春」(吉田真紀さん)のような軽いタッチの作品が主流ですもんね。前進したのか後退したのか小生には分かりかねますが、やはり昭和の作品の方が良かったと思います。いくら古いと言われても重たい作品に人生を感じとることができます。「黒い川」は秀作ですよ。
「文芸思潮」刊行 - hazanyosi
2025/06/29 (Sun) 22:01:36
「文芸思潮」第96号が発行されました。
今号は同人雑誌優秀賞「まほろば賞」候補の作品が五扁掲載されています。五編の中には「海」同人の井本元義さんの「ルーアンの復讐」がノミネートされています。これは関東大震災のどさくさに紛れて憲兵の甘粕正彦大尉が無政府主義者の大杉栄とその愛人(伊藤野枝)と子供を殺害すると言う残虐な事件を取り扱ったものです。甘粕は一応裁判で刑をうけるのですが三年で釈放されてパリに渡るのですが、そこには林という大杉と仲のよかった画家がいて、彼が大杉の仇討ちを試みるという大胆な筋書きです。林という画家の視点で描かれていて、サスペンスに富んだ作品になっています。読み応えがありました。時代背景、事件そのものの参考文献も多く、よく調べられていますね。おそらく井本さんの「ルーアンの復讐」が受賞と思いますが、彼は一度「まほろば賞」を受賞しているのですよね。ですからここをどう評価するか、分かれるでしょうね。同じ人に二度もやることが可能かな?というのが小生の意見です。
「後藤克之集」拝受 - hazanyosi
2025/06/20 (Fri) 21:40:28
「後藤克之作品集 第一巻」を頂戴いたしました。これまで同人誌「絵合せ」に発表してきた小説、随筆、詩、文学論をまとめたものです。読む返してみるとどれも素晴らしい作品ですね。中でも小説「モッテコーイ」は短いセンテンスの長崎の「祭」の迫力ある雰囲気を描いています。「神輿」を担ぐ男たちの汗や体臭がダイレクトに伝わってくる作品です。間もなく夏祭りが各地で行われますよね。小生は「神輿」を担いだ経験はありませんが、あれ、すごい経験になるのですってね。「祭」って確かに人を酔わせるところがあります。ただの「アソビコト」ではないのですよね。博多でも「山笠」がありますが、「山笠があるけん博多たい」って言われるほど地域と人が一体になって熱狂しますよね。独特の雰囲気を感じます。その雰囲気が「モッテコイ」からも伝わってきます。作者もきっと「神輿」を担いだ経験があるのでしょうね。「モッテコイ」を含めて小説は13篇収録されていますが、どれも派手さはありませんが地味ながら教科書のように基本に忠実に描かれています。これに満足せずにさらの殻を破る努力を積み重ねてゆけば日本文学に新しい「後藤ワールド」がお目見えしてくるのではないかと期待しています。
「後藤克之集」は定価1,1000円+送料400円でお求めできます。電話(またはFAX)092・834・7871へご連絡下さい。メールは→ gotokatyu24@gmail.com
Re: 「後藤克之集」拝受 - ごとう
2025/06/25 (Wed) 16:06:11
いつも大変お世話になっております。
ご紹介いただき、ありがとうございます。
このようにご紹介いただくことはありがたく、とても励みになります。
第二巻、三巻、と継続できるように取り組んでまいります。
「海」拝受 - hazanyosi
2025/06/19 (Thu) 13:35:37
太宰府市で発行されている「海」第101号を拝受しました。巻頭の「海へのことば」として「こどもの眼 おとなに眼」というエッセー(中村太郎さん)が掲載されています。確かに視点というのは作品を書く上には大事な事ですよね。誰の視点で書かれた物か。これを読む上においては小生は特に強く感じますね。視点の違いによって作品の出来具合も当然違ってきますよね。中には平気な人もいるようですけど。「私の顔が赤く染まった」なんて書いた人がいましたが、「私」を主人公にしてそういう表現は少しおかしいですよね。気持ちは解りますが自分の顔色が見えるはずもありませんよね、鏡を見ないことには。視点のブレということもよくありますね。小生も指摘を受けたことがありました。視点は文章を書く上での大事なことですよね。
小説「凍裂」(高岡啓次郎さん)は第10回銀華文学賞の特別賞を受賞した作品ですよね。もう十年以上前に発表された作品ですよ。その頃の「文芸思潮」で読んでおりました。改めて読むとまた新鮮な感じがします。少し書き直しされたのかな?キメ細かい文章がいいですね。
この他に性老残夢」(井本元義さん)、「億年の光」(有森信二さん)がいいですね。「蝶が舞うように」(川原広一郎さん)もおもしろかったですよ。この作品は原稿の時に読んでいました。「九州文学」をしている時に送られてきたのでしたっけ。記憶にあります。あれから何回も書き直されたのでしょうか。うまくまとまっていますね。
詩集拝受 - hazanyosi
2025/06/05 (Thu) 21:16:26
後藤光治さんの自選詩集「抒情詩扁」を拝受しました。作者の後藤光治さんは宮崎県の「龍説蘭」の同人で、すでのたくさんの作品を発表なさっています。門外漢の小生に作品評はできませんが、後藤さんの作品は解りやすい詩です。古いという方がいるかもしれませんが、小生は最近の難解な詩よりも後藤さんの抒情詩が好きです。何でもない日常の呟きが美しく飾り付けられています。これでいいのですよね。
「絵合せ」発売 - hazanyosi
2025/05/29 (Thu) 13:19:56
「絵合せ」11号が刊行。順調ですね。
巻頭言「三立交差という手法」(後藤克之さん)は書く物にとっては大いに参考になりますね。三立とは時代、場所、人物を差すことのようですがまったくその通りだと思います。「時・場・人の三立体を親とするならば、筋は子である」とも解いています。なるほど、通俗小説作家からみれば異論があるかもしれませんが、文学全般にわたって見れば基本的な骨組みだと思います。フォクナーはそれに付け加えて「作家に大切なものは観察力、想像力、そして体験だ」と言っていますね。観察力と想像力は追い詰められ、閉塞された状況であればあるほど、人間の物理的な限界を超えて、可能性を開示する(五十嵐勉)と捉えています。こちらの方はやや具象的になりますが、巻頭言の作者が後で述べている「時代・場所・人物の匂いが漂うように、感性を研ぎ澄ましたい」ということの意味はフォークナーの言っていることと繋ぎ合わせることができますよね。書き手にとってはこの感性が必要不可欠ではないですかね。感心しました。

随筆は二編。「多磨霊園にてー太郎に会いに」は小生の知らない世界に案内されたようで新鮮な感じで読み終えました。掌編小説としても読めるのではないですかね。ただ、作者がなぜ「太郎に会いに」というサブタイトルまで付けているのか疑問でした。太郎とは岡本太郎のことで、作者と岡本太郎とのヘソの緒が省かれていますよね。作者は岡本太郎の画いた絵が好きだったのかな?ものすごいファンなのかな?それとも太郎のような画家を夢見ているのかな?単なるアクセサリー?
もう一つの随筆「燃える地域医」は短いながらも内容には説得力がありますね。もっと普遍的に捉えたら更によくなるように(作品として)思いました。

小説は「ガラスの壷」(波佐間義之さん)「落魄の山河」(笠置英昭さん)「自業自得」(川埜邊慎二さん)「星色観測」(後藤克之さん)の四編がありましたが、今回は「自業自得」を取り上げます。
「自業自得」は60枚くらいの作品でしょうか。サラリーマンの職場小説。出入りする商社の女性と結託して上司を色仕掛けで降格させ、仕掛けた部下がその後釜に納まるが、元上司も負けてはいられずに同じ手口で倍の仕返しをして元の鞘に収まるという手の込んだストーリーです。文学という観点からいえば通俗的で、読み物としては面白かったですね。この作者は以前に「セラミックスの恋」を発表していましたが、あの作品に比べると幾分落ちるかなと思いました。「自業自得」は読者よりも作者自身が面白がって書いたのではないでしょうか。それは小生にも経験がありますが、作者自身ほど読者は痛快にはなれませんよね。そうです、リアリティーがついてきません。もっと冷めた視点で書いたら真実味が帯びてくるのでしょうけど、筋の方が先走りしているようで文学から逸脱しているような気がしてなりません。そう感じるのは小生だけでしょうか?作品は書き手と読み手の相互作用によって決まるものですから、客観性を持つこと、これ大事なことでしょうね。


Re: 「絵合せ」発売 - ごとう
2025/06/02 (Mon) 22:46:37
絵合せ第11号、ご紹介いただき、ありがとうございます。情景や心理の描写を丹念に描けるように取り組んでいきたいと思います。
詳細にご講評をいただき、ありがとうございます。同人の皆さんも書き続ける励みになると思います。今後ともよろしくお願いいたします。
訃報「津田さん」 - hazanyosi
2025/05/27 (Tue) 20:38:14
第七期「九州文学」の同人で、俳句作家だった津田富子さんがお亡くなりになっていました。4月13日に電話がかかってきてお話したのが最後でした。その時に肺炎になったと言われていました。声が少しおかしいなと感じたのでしたが退院したばかりだからと聞いていました。退院するくらいなら快方に向かわれたとばかりに思っていたのですが、子供さんからの電話でお亡くなりになったことを知らされました。謹んでご冥福をお祈りいたします。合掌!
「海峡派」拝受 - hazanyosi
2025/05/22 (Thu) 12:58:08
「海峡派」第163号を拝受しました。今号も200ページ近くの小説、詩、エッセー、詩時評、読書日記、語り盆とバラエティーに富んで目を楽しませてくれます。全部はまだ読み切れませんが、印象に残った作品を一つ。
小説「あすなろう」(若窪美恵さん)は学習塾でアルバイトをしている二十六歳の独身女子「わたし」の視点で人と人のつながりをモチーフにした人情話を綴った好編でした。「わたし」は「山根チューター」と書かれたネームプレートをつけていつことから塾生から「ヤマネズミみたい」と言われていることから小説は始まり、塾の教師の一人がお昼の休み時間に外に出て
(たぶん食事のためばかりと思っていたら)とある店で盗撮していたことで警察に捕まり、何の説明もなく塾を辞めるようになったとういう一コマの作品である。全体の経緯はぼかされているが、盗撮した塾の教師の行動は「わたし」や「みどり先生」や「塾長」の言葉の端々から大体の想像は読者には伝わってくる。最近盗撮する行為は欲マスコミを賑わしているので珍しいことではありませんが一般の人間には理解しがたい行為ですね。その行為を想像もできない人たち、たとえば学者とか教育者とか議員とか社会的に地位のある人たちが話題になることが少なくありませんね。この作者もそんな点に違和感や疑義を感じて作品にしたのではないでしょうか。人間って何でしょうね。何がそうさせるのでしょうね。ネットにでている「窃視症」という一種の病気ではないかと作者は推察する一方で、ならば治療する方策もあるのではないかと問題提起しています。まさにその通りなんですが、おいそれと解決策は見当たらないところに人間の持つ何か奥深いものがありそうです。それを追及するのも小説の仕事かもしれませんね。
「草枕」再読 - hazanyosi
2025/05/14 (Wed) 12:50:16
漱石の「草枕」を再読しました。再読といっても小生が独身の頃に読んでいたもので、もうすっかり忘れていました。覚えているのは書き出しの「智に働けば角が立つ・・・・」のその辺りだけでした。改めて読み直して次の言葉にも深く感銘しました。「善は行い難い、徳は施しにくい、節操は守りやすからぬ、義のために命を捨てるのは惜しい」ので「兎角に人の世は住みにくい」ままならぬ(苦痛)ということに繋がるのだろうかと小生は思いました。その為に漱石は「愉快」が必要だと説いています。「愉快」とは詩や画であり芝居であり、いわゆる芸術が身を助けるということを言いたいのでしょうか。いささか観念的、楽天的に思えるけれど、理屈は合ているように小生には思えます。明治初期の作品とは思えぬ近代小説ですね、漱石文学は。もう少し、漱石文学に馴染んで終焉を迎えたいと思っています。