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「全作家」拝受 - hazanyosi
2025/04/15 (Tue) 21:47:39
「全作家」125号を拝受しました。字も大きくなって読みやすくなりましたね。内容的には軽くなったような気がします。小説では「逃げ水」(井上岳人さん)が死をテーマに(再就職した霊柩車の運転手が主人公)ユニークに出来上がっていると思いました。人間の死体を扱うことを仕事にしている人って尊敬します。いつもどんな気持ちで仕事しているのかなーって思っていました。小生には出来そうもありませんが、それしか働くところがないなら生きるためにはやらざるを得ないでしょうね。重兼房子さんの芥川賞になった「山あいの煙」が死体焼却場の仕事をしている男が主人公だったですよね。そういう人がいて人間社会は成り立っているのですから貴重です。読み終えてふとそんなことを思い浮かべました。
「九州芸術祭文学賞」作品集を読む - hazanyosi
2025/04/12 (Sat) 13:28:44
第55回「九州芸術祭文学賞作品集」を読みました。当選作は長崎県のきのみやはるさんの「雨粒のゆくえ」でしたが、こんなのが受賞作になるのだろうかと正直疑問に思いました。同性愛(女)で同棲している「私」が「優花ちゃん」との日常描写。優花ちゃんが陰毛を脱毛したという小劇的なところから始まり、自分もどうしょうかと悩みながら日常を送っている心境が吐露され、それと並行して同性愛をしていることを親にはスムーズに報告することができたが、入院しているおばあちゃんにどう報告すればいいのだろうとこれまた悩みながら同棲を続けるというただそれだけのこと。え? これが芸術祭の文学賞? と不満が突き上げてきました。佳作の「ヒアカスミズザサン」(豊島浩一さん)も日記形式で家庭菜園の合間の日常が淡々と綴られているだけ。これで最終選考委員は納得したのだろうかと、もう一度読み直す気にもなりませんでした。目取真俊の「水滴」や箒木蓬生さんの「頭蓋に立つ旗」や岩森道子さんの「雪迎え」のようなレベルを期待していたのですが、これでは北九州代表の「はらぺこな満足感」(相良信樹さん)の方がまだ重みがあったと思うのですが、「植民地主義的な書き方」という痛烈な批判を浴びたそうです。どこがそうなのか、小生には納得がいきません。だって若者が男女関係をいともたやすく結ぶのはどこの国でも同じじゃないですか。カネで肉体関係を結ぶこともあるじゃないですか。その相手がフィリピンの女性だったということで植民地主義的な書き方? なんか分からないです。小生が最終選考委員だったら今回は「受賞作なし」佳作に「はらぺこな満足感」ですな。何か・・?




「陸軍倉庫のあった町で」拝受 - hazanyosi
2025/04/07 (Mon) 13:26:06
有馬多賀子さんから「陸軍倉庫のあった町で」ー戦後80周年に寄せてーを拝受しました。ありがとうございます。作者は「海峡派」の同人の方ですね。88歳になられるそうですが、元小学校の教師で、この作品はいわば彼女の自分史です。終戦後の混乱した小倉の町での苦闘なさる姿が活写されています。戦争はイヤですよね。住む家がない、食べるものがない、着るものがない・・・戦争のない平和な世の中がずっと続いてもらいたいですよね。最近ではあちこちで戦争が行われています。日本でも軍備拡大を叫ぶ人もいるようですね。日本には平和憲法があります。それを改定しょうと目論む方も少なくありませんが、戦後80年ずっと日本が戦争に巻き込まれること無く平和でこれたのは憲法のお陰だと思うのですが、いかがでしょうか?世界には「ならず者」がたくさんいますね。したがって最低限の防衛力は必要でしょうが、それ以上に望むべくは平和外交ではないですか。たぶんこの作者も平和主義の方だと思います。苦い経験があったからこそより平和な国であって欲しい思いが作品を通じて訴えられています。教え子を戦場に送ることは教師にとって最もつらいことでしょうね。「陸軍倉庫のあった町で」を読んでそんなことを思いました。強いていえばもう少し詳細がほしかったですね。





「長崎文学」拝受 - hazanyosi
2025/04/02 (Wed) 10:33:36
「長崎文学」第107号を拝受しました。主催者の野沢薫子さんが昨秋お亡くなりになって、「長崎文学」は今号でもって終刊になるそうです。なんか寂しいですね。同人の高齢化もあって後を継ぐ人もいないのでしょうね。時間をおいてまた若い人たちが立ち上がって第二期「長崎文学」を創刊されることを祈りたいです。
今号は「野沢薫子氏への追悼エッセー」が編まれています。小説は松尾律子さんの「干し柿」が寄せられています。いきなり「母が死んだ。・・・・」と書き出して、思わずカミュ―の作品を思い出しました。内容的には平板ですがなかなかの書き手だと思います。女性らしく細かい描写がいいですね。平板ですが通常のレベルの作品にはなっていて読めます。
それにしても終刊とは寂しいですな。咲き誇っていた花びらが散るような寂しさを感じます。
「文芸思潮」 - hazanyosi
2025/03/30 (Sun) 21:32:35
「文芸思潮」第95号が発売になりました。今号では銀華文学賞の奨励賞の5編が掲載されていますが、これと言った作品には出会いませんでした。感性の問題でしょうか、琴線に触れる作品ないですね。最近はどうも中間小説になっているような気がします。達者な作品が多いのですが、下手でもいい、心に響く作品が読みたいのですけど、傾向が変ったように思うのは小生だけでしょうか。下読みの段階でおかしくなったように感じます。以前は選考委員の方が下読みから全部読まれていたように聞きましたけど、そうも行かなくなったのでしょうね。奨励賞ですからもっと将来に脈がある作品が選ばれていると思ったのですけど・・・。
全国同人雑誌評(南崎理沙さん)では「絵合せ」10号が取り上げられていました。後藤克之さんの「巻頭言葉特集」と末次鎮衣さんの「マッチ箱のような世界」に言及されています。末次さんのはかなり念入りに評されています。末次さんの作品がこうして紹介されるのはおろらく初めてではないでしょうかね。これを機会にもっともっと書いて欲しいですね。体温の低い作品ですけど文章に乱れはないですよね。人間をもう少し深く掘り下げて行けばまだまだいけるのではないかと思いますよ。
「アビラ」拝受 - hazanyosi
2025/03/27 (Thu) 20:43:28
詩誌「アビラ」21号を拝受しました。これは宮崎県の後藤光治さんの個人詩誌です。詩は門外漢なのですが、彼の詩には小説と繋がるところがあるのです。何年か前に「龍舌蘭」で彼の作品を目にして、そのイメージから捜索を発表したことがあるのですが、彼の選び抜かれた言葉には小生の創作意欲となぜか結びつくことがあるのですね。そのことを本人に伝えたことからこうして贈呈してくれることになりました。誌には詩の他に随想も掲載されています。これが結構面白いのです。今号はファーブルの「昆虫記」について読み解かれていて大いに勉強になりました。「聖たまこがね」(フンコロガシ)の生態についての章が特に面白かったです。なるほど、聖たまこがね」がフンコロガシをするのには理由があるのですね。アソビでやっているのかと思っていましたら大間違いでした(笑)。
「季刊遠近」拝受 - hazanyosi
2025/03/22 (Sat) 21:08:04
「季刊遠近」第89号を拝受しました。有難うございました。小説では「僕は幸せになるんだ」(逆井三三さん)は型破りな面白さがありました。セックスのことでもズケズケと書かれていますが、いやらしさはありません。そう若くもない人のようですが、多少若作りしているのかな?コンビニのアルバイト店員がネットで検索した「レンタル彼女」との交遊記なのですがいつのまにか結婚にまでたどり着くというハナシ。ややリアリティーに欠けるけれどもそういう人生もあるんだなと思い知らされました。お笑いコントのような、それでいて何か心に響くものがあるんですよね。書いた本人も結構楽しんで書いているのかな?
浅利勝照さんの「若松行き」はどこの若松かなと思っていたら北九州の若松が舞台でしたので興味を持って読みました。作者は横浜の方ですよね。大学の教授だった「私」が嫌がらせを受けた上司(学長)の葬儀に同僚と出席した顛末記ですな。上司の死に顔をとくと見届けて自分を慰撫するような内容。若松の状景が活写されていました。火野葦平さんのことが少しぐらい出てきてもよかったかな、と思いました。石炭や町の歴史も調べられたようですのでついでに・・・。
「サンゾー書評」が始まりましたね。一言でいうと辛口の同人誌評みたいです。逆井三三さん(編集長)の歯に衣を着せぬ批評が面白い。期待します。

後藤さん、惜しかった! - hazanyosi
2025/03/18 (Tue) 20:33:26
第23回「江古田文学賞」の発表があり、後藤克之さんが「日めくり」で最終選考の3編に残ったが惜しくも該当作なしの結果に終わり、残念でした。選考委員の一人である楊逸さん(芥川賞作家)の選評を借ります。
<「日めくり」は「彼」が語る「妻」そして「二人の娘」との家族物語である。日常のエピソードは時間軸に沿って「日めくり」のように展開され、間に時々関係のない「妄想」か「回想?」かが挿し込まれる。「檸檬色の星」「赤色の星」「青白色の星」とそれぞれに纒わる物語を構築して「メタフィクションを目指すのかと思わせる工夫もあるが、なにせ主軸に絡ませること無く最後まで浮いたままだった。「真意」が読み取れなかったのは私だけではなかったようだ>ですって。あと一歩ですね。他の選考委員もほぼ楊逸さんと同じでした。次回を期待します!


Re: 後藤さん、惜しかった! - ごとう
2025/03/20 (Thu) 15:44:46
ご紹介、ありがとうございます。
「江古田文学賞」最終まで残ることができ、ありがたく思っています。
これからも地道に書き続けていきたいと思います。
「あかきの」拝受 - hazanyosi
2025/03/13 (Thu) 10:44:35
山口県宇部市で発行されている「あかきの」第11号を拝受しました。シンプルな同人誌です。
知り合いの木澤千さんが二作発表されています。と言っても一作(一枚の絵)は第七期「九州文学」に発表された作品の転載です。東北地震を背景に、持ち主不明の一枚の絵から物語が展開されるミステリー仕込みの掌編です。上手いですね。
今度の新作は「おとうと」というタイトルで、これはおそらく実話でありましょうか。七十歳を過ぎた弟さんがアルツハイマー症になって周囲に心配と異変を感じさせる他人事ではないハナシでリアリティーを感じます。小生も時々そんなになった時のことを想像してドキリとすることがあります。「おとうと」は兄の視点で描かれていてやるせない気持ちにさせられます。小生にもたった一人の弟がいたのですが、白血病で67歳の時に他界しました。その時の悲しみとはまた違った悲しみがここでは吐露されています。素材としては目新しいものではないけれど、人間の生を細かく観察して鮮やかに浮き彫りにした佳作です。
野村英昭さんの「白血病・患者会と私の30年」も胸に迫るものがありました。

「あかきの」お求めは090-8248-9972 野村さんまで
 一部700円(税込)+送料(3冊まで~210円)



「照葉樹」拝受 - hazanyosi
2025/03/11 (Tue) 21:00:48
「照葉樹」第27号を拝受しました。
巻頭に次のような詩?がありました。

「そこに足跡がみえる
 あちらこちらから声がする
 なぜ、なぜ姿だけが無いの?
 温もりの重さだけ・・・」

作者もいませんが、何かの、例えば地震、大津波、火事、殺人・・・災害や事件等がその言葉の裏側に連想されます。確かに今、災害や事件が多いですよね。言葉って読む者によってはその重さを感じさせるのですね。
小説では水木怜さんの「幸せのパズル3」が面白かったです。シニア世代のユートピアを描いているように感じました。いいですね、そういう生きがいのある人生を送れる人は幸せですよ。この作品は連作でまだまだ続きがあるのでしょうね。電台のシニアは孤独ですよね。シニア同志の連帯って意義ありますよ。そういうことを政策にした政党はないかな?
ありがとうございました。