「全作家協会短編集第23巻」を拝受しました。ここには23編の作品が収められています。それぞれが30枚程度の作品でしょうか。全体で294ページに及ぶ大冊です。定価も2,200円と安くはないですね。知り合いの森田高志さん、有森信二さんも発表しています。それぞれ力作です。本間真琴さんの「無限軌道」に注目しました。無限軌道とはキャタピラーのことでしょうか。父親が元軍人で戦車の運転教官で、その父親が娘に車の運転免許を取得するように言いつけて夜にこっそりと自分の車で操作方法を教えるというハナシ。「戦争はいかん」というところは共鳴するけれど、時代背景がピンときません。父親が戦争体験者で、しかも戦車の教官だったとするならもう百歳人間ですよね。その老人が娘にやいのやいのとやかましく言って車の運転を指導するわけです。とするならば時代はもう五十年ほど前のハナシではないですかね。少なくとも現在のハナシではない。父親の元気が良すぎます。そういう説明はありませんので読む方は時代錯誤をしてしまいますよね。書いた本人も錯誤しているのではないでしょうか。作者はまだ若い人のようです。そこまで神経が行き届かなかったのでしょう。創りとしては面白いのです。タイトルも父親の性格も表現していていいですよね。惜しいと思いました。