「詩と眞實」NO913を拝受しました。送り主の井本元義さんの小説「黒い川」は福岡市の御笠川周辺に住む大学生の経済的に苦しい時代の生活を虚無感を重厚な筆致で描いた純文学ですね。小生たち世代、昭和の中盤から終盤にかけての流行した作品の流れをくんでいて、言い方によっては古い作品ですが、個人的には好きな作品です。「いつか汽笛鳴らして」とか「誰かが触った」とか、あの頃を彷彿させます。時代は待ってくれないのでしょうか。今はもう同誌の「立春」(吉田真紀さん)のような軽いタッチの作品が主流ですもんね。前進したのか後退したのか小生には分かりかねますが、やはり昭和の作品の方が良かったと思います。いくら古いと言われても重たい作品に人生を感じとることができます。「黒い川」は秀作ですよ。