「季刊午前」第65号を拝受しました。小説では古木信子さんの「影心中」がまとまっていて面白ったです。古木さんは元民放(熊本)のアナウンサーでしたよね。最近ではあまり書かれた記憶はありませんでしたがまだ続けられているのですね。久し振りにお名前拝見して懐かしかったです。
「影心中」は伝承小説でしょうね。心療内科医の「私」が老人マンションの人たちの診療に出かけて1号館でも2号館でも「自分の影」不思議さを感じる相談を受けるのですが、二人(男女)はまったくつながりはない人同士。二人を認知症のはしりでそういうことを言うのかなと思いましたが、それならそれで納得しますが、この二人が後に神社のベンチ寄り添うように腰かけて死んでいるのですよね。「私」はこの二人の過去の魂に呼び寄せられて心中したように思ってしまうのですが、それにしても不可思議ですよね。警察でも調べようがないじゃないですか。それを神社側が「老楽の恋の成就」のパワースポットに仕立てたというハナシ。リアリティーとか説得力はありませんがハナシとしては面白いですよね。まあこれも老人問題に言及した作品と言えるのでしょうか? もちろん作者が断るまでもなくフィクションとは思いますが・・。