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「重野安繹伝」拝受 - hazanyosi
2024/11/23 (Sat) 13:55:07
鹿児島の藤民央(藤田小太郎)さんより単行本「重野安繹(やすつぐ)伝」をご恵贈いただきました。作者は「季刊遠近」の同人で、小生が氏の作品「南京皿山登り窯」に感想を送っていたことに対するお礼のようです。
「重野安繹伝」も「季刊遠近」に三年がかりで発表されたものを鳥影社から単行本で出版されたものです。
重野安繹は幕末から明治期に活躍した薩摩藩出身の漢学者、歴史家で、日本初の文学博士という経歴に焦点が当たりがちな人物ですが、この伝記小説では、流人時代を過ごした奄美大島での生活を丹念に描いている点が印象的です。長年、奄美の歴史と民族を研究された著者ならではの視点でしょうね。
重野は西郷隆盛や大久保利光とは刎頚の友だったそうで、西南戦争後は大久保の片腕として新政府の文教政策を担った人で、なかでは、西郷と時期の重なった奄美流人時代、調べをつくした作者によって、彼の人間的真価を見事に浮かび上がらせている(勝又浩評)歴史小説ですね。実際に重野と縁のある著者だそうで、筆致に一層の説得力を帯びているように思われます。また、著者の尊父も民俗学者であったとかで、小生も重野安繹なる人物はまったく知りませんでしたが、豊富な資料を駆使された重厚な作品となって勉強させられました。
人生思わぬところでいろんな人との出会いはあるものですね。尊父の著書「奄美染織史」(復刻版)も同時にご恵贈いただきました。