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「季刊遠近」拝受

1:hazanyosi :

2024/05/05 (Sun) 21:19:00

https://bbs11.fc2.com//bbs/img/_893200/893156/full/893156_1714911540.jpg 「季刊遠近」第86を拝受しました。いつものことながらこの誌は充実していますね。今号には知り合いは書いていませんが、小説6編は読み応えがありました。
「キャプテン・四郎」(香山マリエさん)は祖父のことを書いていますが、短編では無理ですね。一冊の単行本になるくらいの内容を圧縮していますのでもったいない気がします。内容としては姥荒らしいと思います。「夢にきませ」(花島真樹子さん)、「青空に炎」(塚越淑行さん)軽妙で読んで楽しかったです。中間小説と申しておきましょうか。心に残るものがあったかと聞かれると少し首をひねりたくなりますが、達者な文章であることは確かです。一番印象的だったのは「短い旅」(浅利勝照さん)です。産み捨てられた女を主人公にした人生の悲哀を重厚な文章で綴っています。結局彼女は男相手の商売をすることになるのですが、どうしても産みの親に会いたいと思って旅をするのです。だが会ってもらえず、いくばくかの札束を身内の者から渡されるのですが(これはもう来るなということでしょうか)その札束を投げ捨てて帰るまでのハナシでした。どことなく水上勉の作品を思い出させるように感じました。そこには作者の思想が底に流れています。この作者の前の作品(タイトルは忘れましたが)も良かったですね。今号のもうら寂しい作品ですが胸に残る良い作品でした。

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