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柴田翔「地蔵千年、花百年」を読了 - hazanyosi
2024/03/27 (Wed) 22:04:38
タイトルちょっと変わっていますね。これは「日本のうた補遺」から拝借したとか。「地蔵千年、花百年、あの子、流れてはや万年・・・・」と続くのだそうです。570枚の大作です。内容も素晴らしいです。どう素晴らしいか、一言では言えません。純文学でこれほど濃密に書ける人は大江健三郎くらいかな?
この作品の中にこういう文章が出てきます。「神は永遠です。しかし人間は時間の中で生まれ、時間の中で生き、時間の中で死んで、しかる後に神の永遠へ無名の魂となって迎えられる・・・」なんか人生をその言葉に凝縮したような感じがするのです。小生は無神論者ですが、神はこの世に存在するのではないかと本気で思ったことでした。いや、思わざるを得ませんでした。素晴らしいです。「されどわれらが日々」では余り感動しませんでしたが、「地蔵千年ーーー」はすっかり感動させられました。文体もいいですね。惚れ惚れとします。